行動を変えれば誰もが意欲的に発言できる

『チェンジ・ワーキング イノベーションを生み出す組織をつくる』平山信彦著(翔泳社)

 人の意識はよほど強烈な体験でもしない限りそう簡単には変えられないものである。日々の行動を通じて一人ひとりが腹に落ちるような丁寧なアプローチが大切だ。

 行動は意識と違ってまず試しにやってみよう。日常的にトライアルを重ね、成果が生まれたら、自然と意識が変わってくるものだ。

・「会議」はやめて、短時間のミーティングをせよ

 ここでいう会議とは、式次第が決まっていて、議長と議員がいるという形式的なもの。そういうものは最小限におさえ、必要な人だけが集まって臨機応変に短い時間で結論を出すミーティングやワイガヤをすべきである。

 もちろんただしゃべっていれば良いというものではない、短時間で集中して行うことが大切だ。

 また、話し合いたい問題、面白いテーマが浮かんだら、すぐに集まること。みんな忙しくて、スケジュールが合うのが2週間後なんてときもあるだろう。だが仕事が入っていようが会議が入っていようが、その場に相手がいれば「ちょっと5分下さい」と言えばいいはずだ。

 この「ちょっとすみません」という声掛けができる環境作りも重要となる。こういうコミュニケーションスタイルこそがアイデアを磨き、素早くプロトタイプを作る原点となるからだ。

・部長が会議の司会進行をしない

 若手社員の発言を促したいのなら、部長クラスが会議で司会進行をすべきではない。

 では誰が司会を務めるのか? 現場をまとめる課長クラスである。彼らにファシリテーションのテクニックを身に付けてもらい、例えば部長の説教が始まりそうなら、「ちょっと待ってください。みんなの意見を聞いてみましょう」と、全員の意見を自然に出させるような雰囲気を作る。これを試しにやってみると、会議の雰囲気がガラリと変わることが多い。

 ほかにも日常生活でできることとして、次の3つを挙げたい。

・会話の中で、相手に興味を持ち、いいねと意見を言う。
・メールは適当な返事をしない。意図を読み取って丁寧に返事をする。
・相手が話している途中に、自分の意見をかぶせない。全部聞いて意見を言う。

 小さなことかもしれないが、一人ひとりがこういった行動を取ることで、コミュニケーションが活性化しイノベーションが起きる組織の土壌が熟成されて行くのだ。