それにしても、施行わずか10日前に「6カ月猶予」というのは、いかにこの政策導入が拙速で進んだかを示している。

 与野党で合意して通した法改正を、反発が多いからと「猶予」するのは、おかしな話ではある。

 そもそも、法改正が決まってから、産業界などからは雇用労働部に、様々な「善処」を求める声が寄せられていた。

 対応が後手後手に回った上にこの時期に、「6か月猶予」というのはお粗末との批判を逃れられないだろう。

ソウル新聞は土曜日休刊に

 だが、政府は、「労働時間短縮」の方針はそのまま進める方針だ。だから、猶予期間は置いても「週52時間労働」は適用されることになる。

 「韓国の経済社会に大きな影響を与えることは間違いない」

 韓国紙デスクはこう話す。そういうメディア業界でも、大変化の予兆が出ている。

 労働時間という考えがそもそも薄かった新聞記者も今回の例外ではない。週52時間で勤務しろというわけだ。

 中堅の「ソウル新聞」はこれを受けて、7月から「土曜日休刊」を決めた。韓国の新聞はそもそも、日曜日には発行しない。だから、ソウル新聞は、月曜日から金曜日までだけ発行することになる。

 これによって記者も原則週休2日になる。

 読者の新聞離れで部数が減少していたうえに、「週52時間制度」の導入で、思い切って発行日を減らす決断をした。