ところが、「回らない」業種も少なくない。

 例えば、路線バスの運転手。早朝から深夜まで1年365日運行するバス会社の場合、労使合意のもとに時間外勤務がどうしても長くなる。

 流通、外食産業、工場など生産現場でも、同じだ。

 さらに、研究職など、そもそもこういう規定にそぐわない業種もある。それでも、一律適用になる。では、どうすればいいのか。

 「雇用を増やしてください」というのが、簡単に言えば、政府の立場だ。

 大企業の役員の運転手の場合、すでに「雇用拡大」が始まっている。

 朝から夜まで会合があり、さらに週末にも行事や接待ゴルフがある役員の専属運転手の場合、「週52時間」など守れるはずがない。だから、運転手を増員した企業は少なくない。

 労働時間の短縮政策というのは、だから、「働き方改革」であると同時に「ワークシェアリング」による雇用増加を狙ってもいる。

 ところが、そんなうまくいくはずもない。