というのも、1週間を「月曜日から金曜日の週5日間」で計算する。これに該当しない週末は、「別途計算」という基準だった。

 週末に、それぞれ1日8時間、2日間で合わせて最長16時間まで「休日労働」することを認めていたため、実際には「52時間+16時間=68時間」までの労働が可能だった。

休日は別計算という不思議な基準

 1週間の計算に休日を除くというのは、不思議な計算方式ではあった。

 高度成長時代の労使双方の意向を反映して、こういう「変則計算」が続いていたのだが、今の政権は、大統領選挙の公約で「正常化」を掲げた。

 改正された法律には「1週間とは、休日を含む7日間のことである」という条項が追加になった。これによって、「週末、休日は例外」という規定がなくなった。

 労使の意向にかかわらず一律で「週52時間労働」という制限がついたほか、「対象例外」がほとんどなくなってしまった。

 保健(医療関係を含む)、物流、航空会社などごく一部の職種を除いて、すべて「週52時間労働」になる。刑事罰の規定もついた。

ワークシェアリングも狙い

 大企業から順次適用になるが、産業界だけでなく、労働者の間からも批判の声が噴出した。

 企業からの批判は、コスト増になることと規定があいまいなことだ。

 週52時間労働というと、ざっと言えば、1か月の残業が50時間弱ということだ。無駄な残業を減らすことや労働時間を減らして労働者の健康や生活の質を向上させることに反対意見はない。