原油市場のかく乱要因を生み出した米朝首脳会談

会談の“成功”でトランプ大統領の「米国第一」政策が先鋭化

2018.06.22(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53367
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 イランと同様、米国による制裁による原油生産の影響を緩和したいベネズエラや、復興資金の確保に苦しむイラクも、より高い原油価格を求めて反対の意向を表明した。その後、OPEC総会の成功に尽力する事務局が「今後数カ月、日量30万~60万バレル増産するという妥協案を協議している」との報道が流れている。

 ここで気になるのは米国の原油生産の動向である。米国の直近の原油生産量は日量1090万バレルに達し、過去2年間で生産量は3割増加、直近ではベネズエラの減産を上回るペースで増産が続いている。

 OPEC総会では、OPECとシェール企業トップとの意見交換が行われる見通しだという(6月16日付ロイター)。OPECとシェール業界は今年に入り既に2回話し合いの場を持っている。シェール業界は反トラスト法によって生産面での協調を禁じられているが、OPECとシェール業界は協調する姿勢をアピールすることで原油相場の急激な変動を抑えたいとの望みを共有している。OPEC総会では「OPECと、ロシアなど非加盟の産油国は原油市場を監視し、必要に応じて対応する連携の枠組みを無期限で延長すること」も議論される見通しである。

 協調減産の見直し案はぎりぎりまでもつれ込む可能性があるが、過去1年半にわたる主要産油国間の協調関係が効を奏し、OPEC総会が原油市場にとってサプライズとなる結果が生じるリスクは低そうだ。

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 むしろ筆者が気にしているのは、米朝首脳会談の「成功」によりトランプ大統領の「米国第一」政策が先鋭化することである。

 6月12日の原油価格は米朝首脳会談に反応しなかったが、その後のトランプ大統領の対中強硬策によって大きく揺さぶられている。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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