さらに、グーグルでは全社員のOKRが社内イントラネットで公開されているという。根底にあるのは、他人に公表して恥ずかしくない目標を立てるという思想だ。公開されることによって、社員同士のつながりが持ちやすいというメリットもある。部署を横断したプロジェクトであっても、どこの誰が、どんなことをしているかが簡単に分かるからだ。

 また、業務時間の20%は、本来の自分の業務以外のプロジェクトに取り組む自由があるというグーグルの有名な「20%ルール」でやっていることなどをOKRに書き込み、PRすることもできたという。

「私はこんなことをやっているのよ!と人に見せ、職場のTransparency(透明性)を重んじるという文化が、グーグルには根付いていました」

日本オフィスもOKRを導入

 セントジョン氏がグーグルに在籍した当初、日本オフィスにはOKRが浸透していなかったという。

「海外とのやり取りのある人のみ必須だったので、日本人のみのチームではやらない人もいました。そのため日本人同士だとOKRに基づいたコミュニケーションが発生せず、その結果無駄なやり取りが発生しやすい状況でした。せっかくグーグルで働いていて、OKRというものがあるのだからやりましょう、日本語でもいいから、と日本オフィスにも導入してもらったんです」

 OKRによってそれぞれが自分の職務について整理し、ミッションに対する自発性や当事者意識が見えるように変わっていったという。

 後編では、同社で効果的だった時間管理術と、セントジョン氏が考える人材の流動性の効用と、日本でも取り入れられる働き方改革のためのヒントを紹介する。

(後編につづく)