2020年、東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催にあたり、期間中の東京都内の交通混雑が懸念されている。東京の企業に通う社員と、国内外からのオリンピック観戦者が都内を移動する様子を想像するだけでも恐ろしい。

 実は2012年のロンドンオリンピックでも、同様の心配があった。そこでロンドン市内の企業に、オリンピックの期間中にテレワークを実施するよう要請したところ、約8割の企業が協力したという。

 この実績を参考に、日本では、2020年までの毎年、東京オリンピック開会式が行われる7月24日を「テレワーク・デイ」とし、企業などが全国一斉のテレワークを実施する日とし、国民運動として盛り上げていくことにした。

 昨年の「テレワーク・デイ」7月24日には、約950団体、6.3万人が参加。テレワークが様々な効果をもたらすという結果も発表された。

(参照:「総務省 テレワーク・デイ実施結果報告 発表資料(PDF)」https://teleworkdays.jp/2017/pdf/report/01_soumu.pdf

 そして、今年は、7月24日の1日だけではなく、コア日とする24日プラスその他の日の計2日間以上を「テレワーク・デイズ」とし、より多くの社員や職員がテレワークを実施できるよう、企業・団体に呼びかけているのだ。

テレワーク、みんなですれば怖くない?!

 「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という言葉が昔流行ったことがある。「慎重派」「目立ちたくない」「集団主義」など、日本人の行動や心理を皮肉ったものだ。

 「テレワーク・デイズ」は、冒頭のように「石橋を叩いてばかりいて、なかなか渡れずにいる」日本人に、みんなで一緒にしようと呼びかけてくれているのだと筆者は思っている。

 テレワークを制度として導入していなくても、参加可能。とにかく1日でもいい、1人でもいい、まずはテレワークをしてみよう、というのが「テレワーク・デイズ」の基本スタンスだ。

 実際に、昨年の「テレワーク・デイ」をきっかけにして、在宅勤務制度への取り組みや、サテライトオフィスの利用が促進された企業が多くあった。

 「社長、この日にテレワークすると、国のホームページに、うちの会社の名前とロゴが掲載されるんですよ。もちろん費用などかかりません」

 こう言って、テレワーク導入を迷っていた社長の背中を押した人事担当者もいた。