この食事の方法で認知機能低下リスクは4割減少する

科学研究から見る、食と脳・こころ(後篇)

2018.06.15(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
さまざまな食物を摂ることには、認知機能の低下リスクを抑える効果があるという。

 日々の食事のあり方は、将来における自分の認知機能や精神状態にどう影響するのだろうか――。そんな疑問の答えを、多くの人を長期にわたり追跡調査することで健康や病気の原因などを究明していく手法「コホート研究」に求めている。

 前篇では、日本の代表的なコホート研究のひとつ「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究」(NILS-LSA:National Institute for Longevity Sciences - Longitudinal Study of Aging)を実施してきた同センターNILS-LSA活用研究室室長の大塚礼氏に、「脂肪酸の摂取量」と「認知機能低下のリスク」の関係などについて聞いた。

 脂肪酸には魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA:DocosaHexaenoic Acid)などの長鎖脂肪酸、また、ココナツに多い中鎖脂肪酸、さらに牛乳・乳製品に含まれる短鎖脂肪酸などがあるが、これらの脂肪酸を摂取するほど将来の認知機能低下リスクを低く抑えられる傾向があるという。

 さらに、NILS-LSAからは独自の成果が上っている。後篇では、「さまざまな食品を食べること」と認知機能の関係を中心に、引き続き大塚氏に話を聞くことにしたい。具体的な数値をもって「食品摂取の多様性が認知機能低下リスクを抑える」という効果を見出だせたという。

穀類を摂取するほど、認知機能低下リスクが高まる

――前篇では、魚に含まれるDHA、さらに牛乳・乳製品に含まれる短鎖脂肪酸などの脂肪酸全般について、摂取するほど認知機能低下のリスクを抑えられるという結果になったと聞きました。他に、NILS-LSAのコホート研究で着目したことはありますか?

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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