いろいろなものを食べるほど、認知機能は保てる
――つまり、「摂取する食品の多様性」と「認知機能低下のリスク」の関係について調べたわけですね。どう調べていったのですか?
大塚 まず、協力者たちの摂取する食品がどのくらい多様かを数値にして表す必要があります。そこで、国立がん研究センターのチームが開発した「食事多様性指標」という指標を使いました。食事で仮にコメならコメだけといった具合に1品目しか摂らないとすれば、その人のスコアは限りなく「0」に近づき、また、仮に各食品群からの摂取量の割合が均等だとすれば、その人のスコアは「1」に近づく指標です。
協力者に摂った食事を記録してもらい、スコアを出していきます。こうして出したスコアと、10年間の認知機能低下リスクの関係を調べました。
――結果はどうでしたか?
大塚 協力者の中で食事多様性指標の最も高かったスコア0.95から、最も低かったスコア0.69までの全570人を、ほぼ均等の人数で高いほうから「高い群」「やや高い群」「やや低い群」「低い群」に分けたところ、「低い群」の認知機能低下リスクを1とすると、「やや高い群」のリスクは0.68倍、「高い群」のリスクは0.56倍に抑えられたのです。
いろいろなものを食べるほど、認知機能低下リスクを低く抑えられるということです。

――スコアの低い人の食事や、高い人の食事とは、たとえばどんなものでしょうか?