・この世論調査は小規模の特殊な調査であるが、北朝鮮全土にわたる国民全体の意向を反映しているといってよい。しかも調査を実施した2017年の一定期間は、北朝鮮側の核兵器や弾道ミサイルの実験によって米朝関係が緊迫した時期と重なり、北朝鮮当局の反米キャンペーンはとくに激しかった。だが、それでも米国を敵だとみなす住民が多数だった事実は、その比率が他の時期ならもっと高い可能性を示している。

・北朝鮮当局は長年、米国政府や米軍を「残虐な侵略者」「野良犬」「狂人」などと攻撃してきたが、一般国民は米国や米国民をそれほどは敵視せず、憎悪もしていないという実態が判明した。その結果、今後の米朝政府間の協議で、米側が北朝鮮側の「米国の北敵視政策の停止」の要求に真正面から対応する必要性はそれほど高くなくなったと言ってよい。

 北朝鮮国民の米国への嫌悪や敵対は、長年、米側のニュースメディアでも広く伝えられてきた。平壌の南の地区にある「信川(シンチョン)博物館」は朝鮮戦争時の米軍による北朝鮮住民の大量虐殺の関連資料を展示しているとされる。そうした「米軍の残虐行為」を原因とする北朝鮮国民の米国への嫌悪の状況は、米側のジャーナリストも頻繁に報じてきた。

 今回のBPによる北朝鮮内部での世論調査結果は、こうした年来の状況とは大きく異なる。この調査結果が本当の現実だとすれば、米朝首脳会談の後に始まる両国の間のやり取りでも、米側にとって交渉材料の1つとなるだろう。