過去のデータについては統計的にロジカルに分析できますが、未来については想像するしかありません。ですので、見えない世界に対する問いかけが重要になるのです。「もしこれが実現したら、世の中はどうなるのだろう?」という興味・好奇心が、新しいことにチャレンジをする時の核心になります。

 観客を飽きさせない面白い映画には、「MDQ」(Major Dramatic Question)と言われる「問い」があると言われます。MDQとは、ストーリーを通底して最後まで観客の関心の核になる「問い」のことです。

 例えば犯罪モノならば「真犯人は誰なのか?」とか「人質は解放されるのか?」というものです。MDQがしっかりしている映画は、観客が興味・関心を最後まで持ち続けることができ、2時間をフルに楽しめます。

 多くの欲望が既に満たされている現代では、ハングリーな野望や目標を持っている人は少数派です。しかし、基本的な欲望が満たされている現代だからこそ、本当に興味のあることを追求できるチャンスです。何か新しい取り組みをするときは、「目標」ではなく、自分の「MDQ」(根元にある興味・関心)を自覚することのほうが有効かもしれません。

(*)著者の最新刊『新・君主論 AI時代のビジネスリーダーの条件』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ではビジネスパーソンにとっての権力の正しい捉え方を詳しく解説しています。自分の取るべき道が、はっきり理解できるようになるはずです。ぜひご一読ください。