筆者のイタリア人の友人は、彼らはEUを破壊する機会を手にするはるか手前で破局を迎えるだろう、と予言している。

 なるほど、そうかもしれない。だが、ユーロの将来は安泰だと決めてかかるのは、やはり向こう見ずだ。

 前回のユーロ危機の際には、乗り切れるだろうという感覚がずっとあった。高名なエコノミストが次々に登場し、単一通貨の終焉を来る日も来る日も予言する一方で、政治は逆の方向を指し示していた。

 債権国と債務国は、ユーロ離脱のコストが高すぎるという判断で団結していた。

 EU本部とドイツ政府を激しく非難することはあったが、アテネ市街を埋め尽くした抗議行動の参加者たちも、旧通貨ドラクマへの復帰を要求してはいなかった。

 ドイツ政府は最近、バランスの取れていない通貨同盟よりも、歯止めのきかない移民流入の方がEUにとっては深刻な危険であると見ている。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領がユーロ圏の協力の深化を強く求めている一方で、ドイツは移民にEU全体で対応することに的を絞りたがっている。

 2015年に100万人の難民に対してドイツの国境を開いたことについて、メルケル氏は謝罪していない。