手がけていたプラントが一段落した頃、軽い気持ちで様子を見に来た尭昭さんが、誰に頼まれたわけでもなく、孤軍奮闘する兄を手伝うことを決めたのは、「大会社での仕事も面白かったけれど、自分たちの手で新たに事業を興して回していく方が楽しそうだったから」。

 それからは、智昭さんが主にティラワオフィスで全体を見ながら倉庫業務と運送業務を、尭昭さんがヤンゴンオフィスでフォワーディング業務と通関業務を担当している。

通関から運送まで内製化し他社と差別化図る

 もちろん、2人とも、一筋縄ではいかないミャンマービジネスの難しさを否応なく味わっている。

 特に、SEZ法に基づいて制定されたSEZ倉庫に関する通達が発効されてから、実質的に施行・運用されるまで想像以上の時間を要したのには閉口したという。

 実際、進出を決めるうえで大きな魅力だったフリーゾーンでの保税倉庫業務は、2017年2月にSEZ管理委員会からSEZ倉庫として認可を受けたにもかかわらず、トライアル運用を開始できたのは10カ月後の17年12月末のことだった。

 「新しい法律や通達によって良い方向に動いている側面もあるが、現場レベルまで浸透させるスピードに課題があるような気がします」と、智昭さんは力を込める。

 さらに、国内の製造業が盛んではないミャンマーでは、物流が欠かせないからこそ、内資や外資の多くのフォワダーが事業を展開している。

 単なる価格競争に陥らないためには、他社とは何かしら差別化を図り、新たな価値を提供できるようになることが不可欠だ。

 そこで同社は、ミャンマー国際フレイトフォワーディング協会(MIFFA)に協力し、タイとミャンマーの国境物流の改善に向けて実証実験を行っている。