2つめは個人ごとのタイプ診断機能だ。行動パターンを約130種類に分類し、ハピネス度との相関を調べた結果を踏まえ、「あなたは午前中に会話をするとハピネス度が高くなるタイプです」など、利用者の特性をアプリ画面に表示する。血液型や星座による性格診断や占いのような抽象的な内容だが、「自分のことを適切に把握・分類している」といった納得感を高める狙いがある。

 最後が、詳細なアドバイスを送るメンター機能である。「午前中に同僚のAさんと話しましょう」のように、会話する相手、時間、回数など、利用者自身が気づいていないようなハピネス度を高める行動をいくつか一覧で提示する。

 日立は今後、メンター機能を改良し、利用者の意思をアドバイスの出し方に反映する予定だ。AIが一方的にアドバイスするのではなく、「今日は会議の質を高めたいな」など利用者の意思に応じて、アドバイスする内容の優先順位を判断する機能をアプリに盛り込むことを検討中だ。

 現行のアプリは、AIが「ハピネス度の向上に効果あり」と判断した行動を提示できるものの、「アドバイスを受ける利用者が知りたい内容と微妙なズレが生じているかもしれない」(基礎研究センタの佐藤信夫主任研究員)というのが理由だ。そこで、利用者が意思表示するステップを踏んで利用者の問題意識を把握するとともに関心事を絞り込み、利用者が「今」必要とするアドバイスを的確に提示する。そうすることで、AIが利用者にとってより身近なメンターになれる可能性がある。

 テレワークの展開やプレミアムフライデーの導入といった全社規模の画一的な施策を講じることだけが働き方改革ではない。センサーとAIを利用すれば、社内の組織や個人ごとの特性に見合った生き生きとした職場環境づくりを進められる。これも最先端のデジタル技術を活用した変革、つまりデジタルトランスフォーメーションの一つといえる。