組織の「幸福度」を測りパフォーマンスを向上

センサーとAIを使い幸福度を高める行動を各人にアドバイス

栗原 雅/2018.5.30

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 個人の行動パターンは十人十色なので、AIによるアドバイスの内容も異なる。「1日に3回、上司と15分以内の会話をするようにしましょう」と提示される人もいれば、「午前中に同僚のAさんと話しましょう」、「デスクワークの時間を増やしましょう」とアドバイスを受ける人もいる。

 アドバイスの効果は顕著だった。日立は社内の営業部門26部署、約600人を対象に行った実証実験で、1週間のアプリ閲覧時間が一人あたり2分未満の部署と2分以上の部署でハピネス度を比べた。その結果、閲覧時間が長かった組織のハピネス度は、短かった組織の4倍以上を記録した。加えて、ハピネス度が高い部署は翌四半期の業績(受注達成率)が向上した。

3ステップでAIに対する信頼を高める

 機械の制御にAIを利用するのと違い、人に行動を促すためにAIを用いる場合、どうしても越えなければならないハードルがある。AIに対する信頼の獲得である。見ず知らずの第三者からいきなり細かい助言をもらっても受け入れにくいのと同じく、信頼に足るかどうかが分からないAIのアドバイスは素直に受け入れづらい。

 そこで日立はスマホ用アプリに3つの機能を持たせ、AIへの信頼を高める工夫をした。まずは、行動を可視化する機能である。名札型センサーで計測したデータに基づいて、出社/退社時刻や会話やデスクワークに費やした時間をグラフなどで表示する。データを可視化すること自体は、利用者にとって特段の価値はない。しかし、「自身の行動を正しく捉えている」と利用者に理解してもらうことで、計測器としての信頼獲得が期待できる。

働き方アドバイスアプリケーションでのハピネス度の表示と行動可視化の例