大事な茶席に、時間ギリギリでバタバタと駆け込む客人はいないでしょう。ましてや、「ちょっとくらいならいいだろう」と5分、10分遅刻するなんてもってのほかです。同じように、会議を「重要な意思決定の場」と認識している人は、決して遅れることはないはず。「どうせ大した話なんてしないだろう」「何も決まらないだろう」という気持ちの表れが、遅刻なのだといえます。

 前回お話しした、「決めない会議(意思決定の機会がない会議)はやめていい」という理由は、ここにもあります(前回の記事:「働き方改革で見直される『雑談』の重要性」)。不必要な会議が多いからこそ、会議そのものに対する参加意識が薄くなってしまうのです。

 会議では必ず、意思決定を行う。これが会議を「一座建立の場」にする第一歩です。会議の質が高まらないと、参加者は集合時間すら守らなくなるのです。

前田鎌利(まえだ・かまり)氏 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫社長に直接プレゼンして事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりにも携わる。チーム内会議の改革にも着手し、超高速PDCAを回しながらチームの生産性を倍加させて、次々とプロジェクトを成功させた。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、UQコミュニケーションズなどで会議術の研修も実施。著書に『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』(ともにダイヤモンド社)がある。

「完璧主義」が意思決定スピードを遅らせる

 組織的な意思決定スピードが高まらない原因は、もう1つあります。

「完璧を求めすぎる」ことです。