オフィスに入りまず目を引く大きな「やぐら」。共創のシンボルとして設置された

 デジタルを活用したイノベーション創発を実現するためには、優秀な専門家と技術が出合うのに適したオフィス改革が必須である──。アクセンチュアが2018年1月にオープンした「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」では、顧客と一体になってイノベーションを生み出していくためにオフィスレイアウトに様々な仕掛けを施している。

 なぜこの拠点を作ったのか、レイアウトやデザインにどのような特徴があるのか、そしてどのような効果が表れているのか。港区・麻布十番のオフィスを訪ねた。

共創でアイデアを具現化するためのオフィス

「デジタルは驚異的なスピードで進化し、かつ将来の予測も難しいものとなっています。さらに、企業1社だけで新しいビジネスを創造して行くことにも限界が見えてきています。そこで私たちは、新しいビジネスモデル、商品、サービスをスピーディかつ継続的に生み出すためには何が必要なのかを考えました」

 アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京共同統括マネジング・ディレクターの保科学世氏が語る。

 成功を決定づける要因の1つが、オープンイノベーションだ。このオフィスではアクセンチュアの専門家と、大~中小企業からスタートアップやベンチャーキャピタル、大学や行政などが相互に技術やアイデアにアクセスしながら、連携している。

アクセンチュア・イノベーションハブ東京共同統括マネジング・ディレクター
保科学世氏

「ここにはデータサイエンティスト、AIエンジニア、UX/UIデザイナーなど、高度な専門性を持った有能な人間が集まっています。そのスペシャリストと一緒にサービスを作り出すことができるのです」

世界とつながる「界隈」をイメージ

 まずは8階THE HUBへ。施設玄関口から入ると、広大なスぺースの中央に未来を思わせる「やぐら」のモニュメントが設置されている。アクセンチュアがオフィスのコンセプトにしたのは日本の「町家文化」だ。海外と同じものを作るのではなく、日本の良さ、ルーツも考慮し、生活と商売が密接につながる空間を仕掛けた。

「8階は町家の界隈を通じて外の世界と繋がるイメージです。こちらのオフィスがある麻布十番の夏の風物詩の1つが納涼祭りです。日本の夏祭りといえば、やぐらがあって、そこに人が集って盆踊りをして、新しいムーブメントが起きるもの。そのように、人々が集ってコラボレーションすることを意識した共創のシンボルとして、やぐらを設置しました」