(英エコノミスト誌 2018年5月19日号)

米大使館移転抗議デモ、パレスチナの流血と悲しみ

パレスチナ自治区ガザ市東部のイスラエル境界付近で、イスラエル側から撃ち込まれる催涙弾(2018年5月14日撮影)。(c)AFP PHOTO / MAHMUD HAMS〔AFPBB News

しかし、パレスチナも真の非暴力に方針転換するべきだ。

 ガザ地区は、誰もができたら無視したい、人間のゴミの山のような場所だ。イスラエルもエジプトも、そしてパレスチナ自治政府(PA)でさえも、その責任を取りたがらない。

 しかも、ここからは時折毒が漏れ出てくる。例えばロケット弾などの攻撃で挑発し、全面的な戦争を引き起こす。そのときには、さすがに世界も注目せざるを得なくなる。

 そういう瞬間が5月14日に訪れた。ガザ地区の国境沿いのフェンスに近い場所に数万人のパレスチナ人が集結し、イスラエルが1948年に建国された際に先人が失った土地に「帰還」しようと声を上げた。

 するとイスラエル軍が、抗議行動の参加者およそ60人を殺害し、2014年のガザ侵攻以降で最大の流血の惨事となった。

 片やこの日には、米国が在イスラエル大使館をエルサレムに開いたことにイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が大喜びし、「平和にとって最良の日」と形容していた。

 2つの対照的な出来事が同時に展開される実にシュールな状況だった。

 多くの国々がイスラエルを公然と非難した。外交官を呼び戻した国も数カ国ある。

 戦争犯罪だと責める人もいれば、米国大使館がテルアビブからエルサレムに移されたことが衝突の原因だとしてドナルド・トランプ大統領を批判する人もいる。