人間を中心にマクロの世界で考えれば、MHzの交流は「高周波」です。ここでマクロな人体にマクロな電流を流してジュール熱を発生させれば「電気メス」として利用が可能です。

 やや危ない面もありますが、傷口が同時に「火傷」するため、止血効果など、刃物を使う手術では期待できなかった効用も生まれました。

 他方、赤外線から青や緑に見える可視光まで、強出力のレーザーを身体に照射すれば、レーザーメスとして器官に熱を与え、やはり焼き切ったり傷口を凝固させたりすることができます。

 レーザーは純粋に量子力学的な効果、ミクロの世界の支配原理に基づいてマクロに作用し、先ほどの電気メスと違ってマクロの電流を人体に流すような乱暴なことはしません。

 また、青や緑の光を用いれば、つまり赤い光を使わないようにうまく避けて、血液に特化してエネルギーを与えることができます。

 私たちが血を見て「赤い」と思うのは、赤い光は吸収されず反射されてしまうから赤いのであって、赤い光を照射してもうまく「赤身」には作用しません。

 逆に赤の「補色」の光はよく吸収してくれます。青や緑色の光をうまく使うことで、美容外科など微細な施術を求められる応用範囲に、コントロールされよく焦点が絞れた形でエネルギー(ここでは熱)を与え、高度な外科手術を実施することができる。

 いま、可視光よりも長い波長、つまり赤外部の話だけですでに紙幅をオーバーしてしまいました。逆に紫外線に目を向ければ、いわゆる紫外線と人体は「日焼け」その他の形で相互作用し、色としては見ることができません。

 シミ・ソバカスのような相互作用は、ちょっと困りますね。

 もっと高周波=短波長になると「X線」と呼ばれます。胸の写真やCTなど、医療で大活躍しますが、これだって私たちは目で見ることができません。