こんな光でも本質的にミクロの物理法則に従う、ミクロとマクロの間の性質を持っています。

 UHFやVHFも、ご存じの方はご存じの通り通信波で、このUHFより高周波側に、私たちが日常的にお世話になっているテレビ放送の周波数帯域があります。

 ミクロとマクロなんて言うと概念の遊びみたいに聞こえるかもしれませんが、この極長波の送受信には巨大な設備が必要でした。

 かつてはこれが、大変な国費を傾けていくつも建設されました。

 理由は、潜水艦との通信に適しているからで、21世紀の現在は花形とは言えないかもしれませんが、現在でも重要な軍事通信帯域として、主として浅い潜水深度の潜水艦との通信に用いられているようです。

 それと言うのも、超長波の信号は、電磁気の観点からはいろいろ厄介も性質を持つ「塩が溶け込んだ水」、つまり海水の中でも、一定の深さまで透過するという顕著な性質を持つからです。

 Uボートなどが世界の海を席捲した第2次世界大戦期から、戦後の冷戦、核弾頭を装備した巡行ミサイルを発射できる潜水艦の配備が軍事力の雌雄を決した、そんなに昔ではない時代まで、決定的に重要なテクノロジーでもあり続けたように思います。

 21世紀の到来とともに私たちは第2次湾岸戦争のピンポイントミサイル攻撃を目の当たりにし、同じテクノロジーが民生に公開されて、いまや多くの自働車がカーナビゲーションやスマホのGPSを活用し、ウーバーがタクシーの売り上げをさらって行く時代になっています。

 そんななか、旧態依然たるアナログ通信の世界などは「いまや最先端科学技術のフィールドにあらず」なんて思われるかもしれません。

 しかし、ITからAIやセンサーIoT、データサイエンス全盛みたいなご時世を見つつ、その基礎にある地に足のついた物理、モノのコトワリを軽んじてしまうと、それらを使いこなす知恵の根幹を失ってしまうように思います。