逆にこれを応用すれば、外科手術などにも活用できるかもしれない。そう考えて開発されたのが「レーザーメス」で、すでに臨床現場で長らく使用されています。

 それよりもさらに赤外方向で波長が長くなると、この領域を指す言葉として、別に「マイクロ波」という用語があります。

 「ミクロ」ですね。光の波長としては1センチとか、人間の手のひらに乗る程度のスケールになるのですが、なぜかミクロと呼ばれている。

 ドイツの家電製品業界で「ミクロ」と言うと、実はこれ、電子レンジを指します。赤外線がさらに波長を長くした領域は、レーザーメスの短波長とパワーの集中をもちませんが、人間の手のひらに乗る程度の料理の全体を温めるという別の働きをします。

 これも人間に照射したりしたら大変です。ちなみにオウム真理教は「マイクロ波兵器」と称して人間を蒸発させてしまう巨大電子レンジを作ろうとして失敗するという困った犯罪を犯しています。

 これも間違いなく「光」にほかなりませんが、人間が目で見て色が分かる代物ではない。

 さらに波長が長くなると、なぜか不思議なことに「短い波」、それも「ものすごく短い波」と名前が変わります。正確には「ウルトラ高周波数(Ultra High Frequency)」と呼ばれている。

 周波数が高い=波長が短いわけですが、この両者を掛け算すると光速が得られ、よく知られる通り光速は一定の値をもちます。

 頭文字をとって並べてみましょう。

UHF(1メートル以内程度の波長)
VHF(1~10メートル程度の波長)

 つまり、UHFより赤外方向に光の波長が長くなると、「とっても高い周波数(Very High Frequency)」と呼ばれる。