そしてもうひとつの魅力は、もちろんタイトルの通りの「ランチ酒」。離れて暮らす一人娘を想ってつつましく暮らす祥子の楽しみは、勤務上がりのランチで酒を飲むこと。

 武蔵小山、御茶ノ水、新宿、新丸子、秋葉原・・・。今日も美味しい酒と食事を求めて、各地に足を運び、目に入った暖簾をくぐります。

 それぞれ、どんな店に入り何の酒を飲み、何を食べたのかは、本書に譲ります。ただし、どのシーンの描写も美味しそうに描かれており、読むだけで実際に食べられないことに悔しい思いをすることは間違いありません。この物語の設定といい、著者の才能の片鱗を感じ取ってしまいます。

 それにしても、本書を読むと、祥子のように毎日を大切に生きているからこそ、昼酒が似合うような気がしてきました。私も昼酒の計画を進める前に、まずは昼酒が似合う男になるための自分磨きから始めなければいけないかもしれません・・・。

 今回は、アルコールにまつわる3冊を紹介しました。

 ところで冒頭の山口元メンバー問題は、所属先のジャニーズ事務所による契約解除によるTOKIO脱退で決着したようです。ただ、他の先例からいっても、性的事件を起こしては芸能界に戻ってくるのは難しそうです。ましてやアイドルであれば、その可能性は絶望的。

 それならば、せめて自叙伝を発行してもらいたいもの。そしてその売り上げや印税は全て被害者の方や、他のメンバーに手渡してみてはいかがでしょうか。そして刊行する際には、特別付録として「退職願の書き方」を付ければ、言うことなし。