「AIの民主化」がもたらした第3次AIブーム到来

経営者のためのAI入門(1)

神崎 洋治/2018.5.16

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図3 AIシステム「アルファ碁」とプロ囲碁棋士との対戦の様子(YouTube DeepMindより)

 アルファ碁は2016年3月、最強と言われているプロ囲碁棋士と対戦。全5戦のうちアルファ碁が3連勝して勝敗が決した。その後、第4戦はプロ棋士が勝利して一矢報いたものの、最終的にアルファ碁が4勝1敗の対戦成績で勝者となった(図3)。

 アルファ碁の勝利を大手ニュースサイトなどは一斉に報じ、見出しには「AIが人類を超えた」といった煽るような言葉も踊った。そんなこともあり、普段は囲碁をしない人やIT業界と縁が遠い人、さらには「人工知能なんて映画やコミックスの中のものだ」と考えていた人たちも、この“事件”に注目した。政治家まで「人工知能の開発が次世代のキーワード」などと発言し、まるでAIが明日にも社会を席巻するかのようなにぎわいとなった。

 アルファ碁の勝利に皆が沸いたのは無理もないことである。囲碁はチェスや将棋と比較して先読みの着手数が多い。そのため「コンピュータが人間に勝つにはまだ10年はかかるだろう」と言われていた。ところがその囲碁において、開発を始めてわずか数年のコンピュータシステムが、世界的な実力者を破った。このことは快挙にほかならず、AIへの期待感を一気に高めるのに十分なインパクトを与えた。

 この快挙を成し遂げたアルファ碁が用いた技術も、やはりディープラーニングによって囲碁の名人に勝つまでに能力を高めたニューラルネットワークだった。

具体的な成果を見ずに消えた2度のAIブーム

 人間の能力を次々と打ち破る実績を上げ、広く脚光を浴びるようになったAIだが、これまでに大きく2度のブームがあった。しかし、いずれのAIブームにおいても社会を変えるような具体的な成果をあまり得られぬまま、残念ながら下火になってしまった。