しかし、システム導入はそう簡単にうまくいくわけではありません。そもそも非効率な業務の流れのまま、システム化したところで、本質的な改善にはなりません。システムうんぬんの前に、業務そのものの見直しをしておくべきでしょう。

 BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)のような、抜本的に業務そのものを見直すやり方があります。これは業務改善というよりも、業務改革といったところでしょうか。

 BPRを実施して成功すれば効果は大きいですが、トップダウンに組織全体を見直す大きな投資をする必要があります。抜本的な見直しになるので、現場の混乱は避けられず、社員たちからの反発もあるかもしれません。

 というのも、長く続けてきた業務の現場には、例外的な処理が多数あるものです。納品書の同封方法が独特なお客様がいるなど、これまでは現場の担当者が柔軟に対応していたことが、システム導入する際の要件から漏れてしまうことがおおいにあるからです。

 なにより、システム導入にせよBPRにせよ、一度に変えるビッグバン方式での業務改革の問題点は、実施した時点は良くても、その先の改善が止まってしまうことです。

まずはお金をかけずに、小さく始める

 そこで私たちが提案するのは、いきなり大きな理想の絵を描いて取り組むのではなく、今ある現場の困りごとや無駄な作業をひとつひとつ変えていく業務改善の方法です。

 なにもシステム会社に頼ってゼロから開発してもらう必要はありません。今や、無料や安価に使えるクラウドのツールは山ほどあります。その導入ならば、自分たちだけでも可能です。