働き方改革を旗印に、残業を減らそうとしてもうまくいかないのは、働く時間だけを短くして仕事の中身を変えないからです。仕事量も仕事の仕方も変えなければ、期待通りにいくわけがありません。

 働き方改革で目指す本質は、働く人が個性にあった働き方が選べることと、企業の生産性を高めて成長を実現すること、この両輪を回していくことです。実現したいのは、個人の幸せと企業の成功の両立です。

目指したのは地道な業務改善

 本社オフィスがなくて全員テレワーク、バックオフィスの社員も管理職もいない、それでいて創業以来ずっと成長を続けている会社があります。それが筆者の経営する株式会社ソニックガーデンです。

 そんな先進的な働き方が評価されて、日本における「働きがいのある会社ランキング」(意識調査機関Great Place to Workが実施)2018年版の小規模部門で5位に入賞しました。また、「第3回ホワイト企業アワード」(日本次世代企業普及機構が選出)も受賞しました(イクボス部門)。働きがいと働きやすさを両立させても、会社を成長させることができるのです。

 しかし、私たちはそもそも新しい働き方を実現しようと取り組んできたわけではありません。会社を経営する中で、無駄な業務や手続きがあれば見直して、必要とあればITを活用して効率化する。そんな地道な業務改善を繰り返してきた結果、先進的な働き方と評価されるまでに至ったのです。

 私たちが取り組んできた業務改善は、ひとつひとつは小さな工夫ばかりです。一気に大きなシステムを導入するようなやり方ではなく、現場で起きている問題を解決して、また次の問題を解決して、という繰り返しでやってきました。

 業務改善の過程で、ペーパーレスを実現し、テレビ会議を導入し、請求書発行を自動化し、電話の受け取りもなくして、果ては本社オフィスも撤廃してしまうことになりました。そうした改善を積み重ねた結果、気づけば働き方も変わっていたのです。

ビッグバン方式の業務改善の問題点

 ひとくちに業務改善と言っても、一体どこから手をつけたら良いのでしょうか。まず思いつくのは、システムの導入でしょう。それまで人力でやっていた業務をシステム化すれば効率化することができます。