米国のイラン核合意破棄で原油価格は高騰するのか?

不発に終わる可能性が高い「さらなる原油高」のシナリオ

2018.05.11(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53057
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「第2の中国」と目されるインド(世界第3位の原油輸入国)で、悪影響が出始めている(4月30日付OILPRICE)。1バレル=50ドルの原油価格を良しとするインド経済ではインフレ懸念が高まり、景気が急減速する懸念が高まっている。原油高に苦しむインドに対して、ベネズエラは「官製仮想通貨ペトロで決済すれば原油価格を30%割り引く」との提案をしている(4月30日付OILPRICE)。

 米国でもレギュラーガソリン価格が1ガロン当たり3ドルに迫っていることから、ドライブシーズン前にもかかわらずガソリン在庫が増加する兆しを見せている。

 原油の最大輸入国である中国では、「茶壺」と呼ばれる民間製油所の原油需要が引き続き旺盛だが(4月の原油輸入量は日量964万バレルで過去最高を更新)、大手国有石油会社は原油高を理由にサウジアラビア産原油の輸入を削減する動きが出始めている(5月3日付OILPRICE)。

 2007年半ばに原油価格が1バレル=80ドルを超えると米国の原油需要の減少が顕著となったが、リーマンショック後の病み上がり(借金漬け)の世界経済の下では1バレル=70ドルがその分岐点になるのかもしれない。

 原油市場で供給増に加えて需要減という要因が重なれば、地政学リスクの高まりにもかかわらず、2014年後半に生じた「逆オイルショックの再来」の再来が起きる可能性があるのではないだろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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