米国のイラン核合意破棄で原油価格は高騰するのか?

不発に終わる可能性が高い「さらなる原油高」のシナリオ

2018.05.11(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53057
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 それに対してイラン石油省のザマニニア次官は5月6日、「原油の適正な価格は1バレル=60~65ドルである」と発言した。原油価格が1バレル=60ドル以下でも財政を切り盛りできるイランにとって「これ以上の原油高はシェールオイルが利益を享受するだけだ」と考えているのだろう。

 3月・4月と2カ月連続で減産目標を上回る原油生産を続けているロシアも、政府は「引き続き減産を支持し実行する」との態度を崩していないが、石油会社の間で減産に対するインセンテイブが減少していてもなんらおかしくない。

原油高が及ぼす世界経済への悪影響

 話題を原油市場を巡る情勢に戻すと、「米国のイラン核合意破棄によるさらなる原油高」というシナリオが仮に不発に終わったとしても、これに代わる中東地域の地政学リスクは目白押しである。

 サウジアラビアが軍事介入を続けているイエメンのシーア派反政府武装組織フーシが、サウジアラビア南部にあるサウジアラムコの石油関連施設に対するミサイル攻撃を続けていることから、北海ブレント原油先物価格は4年ぶりの高値を記録している(5月7日付OILPRICE)。フーシが発射するミサイルはイランから提供されているとされてきたが、「フーシは最近イエメン国内で自らミサイルの製造を開始した」との情報があり(5月5日付ZeroHedge)、サウジアラビアへの脅威は高まるばかりである。

 シリアを舞台にイスラエルとイランが直接対決する戦争のリスクも高まっている(5月4日付ブルームバーグ)。「核合意の破棄でイランが原爆開発を再開する」と考えるイスラエルのイランへの軍事攻撃も現実味を帯びてくるだろう。

 こうした地政学リスクが招くさらなる原油高は、世界の原油需要にどんな影響を及ぼすのだろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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