上記の2人の博士の本から読み解くに、そのメッセージは、この地球上で協力し合わなければ生き残れなかったヒトという種に、「遺伝子レベル」で響くのではないかと思うのです。

 ところが現実には、ストレートな協力の要請の代わりに、さまざまなコミュニケーションが代替して使われます。

 代替コミュニケーションの代表格が「指示」と「コメント」です。

 通常、指示は上司という役割を「根拠」として発せられるものです。指示には「組織では、下の者は上の者の言うことを聞くべきだ」という「根拠」がありますから、相手は断ることが難しくなります。

 指示が駄目なわけではありませんが、そこでは「目の前のその人のために、よしやってやろう!」という自発的なムーブメントが失われる可能性があります。

 コメントは、その人の考えの表明です。

「仕事のスピードを上げるのは大事だと思う」

 これは、単に意見を述べただけであって、相手の行動にまったく働きかけていません。

 言葉はただ宙に舞います。

 リーダーのコミュニケーションを観察してみると、存外この類のコメントが多いことに気づかされます。協力を求め、結果断られ傷つくことを無意識の内に恐れるからかもしれません。

 協力して欲しいときには、真っ直ぐに「協力して欲しい」と伝える。

 人を動かすし、組織を動かすための大きな一歩であるでしょう。

 さて、ここで、もうひとつの視点があります。

 たとえ、協力を要請したとしても、日頃から「あまりこの人は協力したい人ではない」と思われていれば、協力を取り付けるのは難しいでしょう。