うどんとは大違い、パスタの形はなぜ多様なのか?

風味の魅力を生み出すデュラム小麦

2018.05.11(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

 小麦粉に含まれているタンパク質は、水を加えて練ると網目構造のグルテンを形成する。デュラム粉はタンパク質を多く含むので、グルテンが多く形成され、弾力が強くなる。

 パスタは、小麦粉を練った生地に圧力をかけて鋳型から押し出して成形する。グルテンのおかげで生地に粘りや弾力があるので、押し出しても切れることなくいろいろな形にできるのだ。そのうえ、ゆでても形はくずれず、独特のしこしことした歯触りを生み出す。

パスタには、実にさまざまな形状がある。

 近ごろ、「グルテンフリーダイエット」が注目され、グルテンは健康によくないという印象を持っている人がいるかもしれない。グルテンフリーとは、「グルテンを含まない」を意味し、グルテン不耐症の人に対する食事療法として取り入れられた。

 だが、麩はグルテンを原料にしたものであるし、パンはグルテンの粘りや弾力性を利用して膨らましている。グルテンがなければ、ふわふわのパンや麩、そして何より、しこしことしたパスタを食べることができなくなる。不耐症でなければ、無理にグルテンフリーにする必要はないだろうと思う。

普及の当初はうどんのような食感だった

 日本に初めてパスタが持ち込まれたのは幕末のことで、外国人のみが食べていた。1872(明治5)年に出版された敬学堂主人著『西洋料理指南』では、「竹筒の形をしたうどんのようなもの」と記録された。その後、マカロニは「穴あきうどん」と呼ばれていたという。

 日本でパスタが一般的になったのは戦後、1955(昭和30)年に初めて本格的なパスタ製造機が導入されてからである。とはいえ、そのころの国産パスタはデュラム小麦100%ではなく、複数の小麦粉をブレンドして作られたものだった。まだデュラム粉が手に入りにくかったこともあるが、うどんに慣れている日本人にとって、デュラム粉のパスタの食感はあまり好まれなかったらしい。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


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