うどんとは大違い、パスタの形はなぜ多様なのか?

風味の魅力を生み出すデュラム小麦

2018.05.11(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

 実は、小麦の種類はとても多い。大きくは、「普通小麦」と「デュラム小麦」に分類でき、私たち日本人が普段よく食べている小麦は普通小麦である。普通小麦は、その中でも種をまく時期や色、粒の硬さなどで特性が異なるため、さらに分けられている。たとえば、粒の硬い「硬質小麦」はタンパク質の含有量が多く、粒の軟かい「軟質小麦」はタンパク質の含有量が低いものが多い。

 そのため、製粉会社は品質の異なる産地や銘柄など数種類の小麦を配合して、強力粉や薄力粉などの種類の小麦粉を製造している。タンパク質を多く含む強力粉は、こねたときの粘りや弾力が強く、製パンなどに使われる。タンパク質含有量の少ないのは薄力粉で、ケーキやクッキーなどに使われる。うどんは、その中間の性質を持つ中力粉が使われている。

 うどんの原料は普通小麦、パスタはデュラム小麦であり、原料の小麦の品種が異なるのである。デュラム小麦の普通小麦との一番の違いは、染色体の数が異なることだが、それ以外にもさまざまな違いがある。まず、カロテノイドを含むため、粒が黄色い。だから、パスタは黄色い。

 また、粒はかなり硬く、ガラス質である。硬質小麦よりも硬いため、細かい粉ではなく、粗びきのセモリナ粉になるのだ。ちなみに「デュラム」はラテン語で「硬い」を意味する。

 さらに、デュラム小麦は特にタンパク質を多く含み、またビタミンB群なども普通小麦より多く含む。このように栄養価の高いことが、パスタはダイエットによいなどといわれる所以なのかもしれない。パスタの原料に普通小麦を使うこともあるが、品質が変わり、消費者にはあまり好まれないようだ。イタリアでは、1967年にパスタに関する法律が制定され、「イタリアで製造される乾燥パスタは、デュラム小麦のセモリナ粉100%を原料にしなければならない」と定めている。

弾力性が高いゆえに多様な形状が可能

 パスタの特徴には形状の多様さもある。細長いひも状から、ねじれたもの、筒状などさまざまな形があり、650種類以上もあるといわれる。さらに、さまざまな形状があるからか、パスタに合わせるソースの種類も多く、食べ方もバリエーションに富んでいる。パスタのゆであがりの状態を「アルデンテ」(歯ごたえのある)というように、しこしことした弾力のある歯触りもパスタならではの特徴だ。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


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