エネロボクラウドを活用してソフトウェアロボットの“派遣”を検討する人材派遣会社も出てきました。パソコンを操作して事務処理をする派遣スタッフが不足気味のため、エネロボクラウドでソフトウェアロボットを作れる人材を顧客企業に派遣し、スタッフ一人で複数人分の作業をこなせるようにする狙いです。

 目立って増えてきたのが、ロボットセンターを作りたいという広島県外の自治体からの相談です。それも、数件というレベルではありません。広島ロボットセンター構想で協働しているRPAテクノロジーズとエネコムに寄せられた相談を合わせると、かなりの件数に上ります。

 自治体の場合は年度予算の都合がありますが、2018年度がソフトウェアロボット元年になるでしょう。早いところは、年内にRPAツールの検証や活用に着手します。来年度は庁内業務の自動化や、広島ロボットセンター構想のように産業振興を目的にしたRPAツールの展開が本格化しそうです。

 エネロボクラウドの開始直後から問い合わせが殺到しているため、エネコムは今年4月、以前は10人程度だった陣容を約40人規模に拡充しました。それでもすべての引き合いに対応するのが困難な状況になりつつあるので、広島県情報産業協会の会員企業に広島ロボットセンター構想への参画を呼び掛けています。すでに県内のITベンダーやコンサルティング会社など4~5社がソフトウェアロボットの事業に踏み出すべく準備を進めています。

 RPAツールに強いITベンダーと開発実績がともに増えるにつれて、広島ロボットセンターの求心力は高まり、ソフトウェアロボットづくりの人材やノウハウ、実用的なソフトウェアロボットの部品がどんどん蓄積される。そして豊富な人材、ノウハウ、部品は、ソフトウェアロボットの需要を新規に獲得する際の有力な武器になり、県内IT産業の成長を加速させる。広島をソフトウェアロボットの聖地にする構想は着実に前進しています。