熱中小学校の東京分校で授業を行った内田洋行の大久保昇社長(2018年4月14日)

 4月14日、伊那食品工業の塚越寛会長が校長を務める「信州たかもり熱中小学校」(参照「トヨタの師匠、小学校の校長に」)が開校した。2015年に山形県高畠町から始まった熱中小学校のプロジェクトは、ここで9校目となった。

 一方この日、東京では熱中小学校の始まりから現在に至るまでの発展をつぶさに記した「地方創生“熱中小学校”の果てしなき挑戦 もういちど七歳の目で世界を・・・」(滝田誠一郎著、辰巳出版)の出版記念講義が内田洋行の本社で開催された。

迫力あふれる理科授業

 著者である滝田氏による熱中小学校誕生の裏話、プロジェクトに関わってきた人たちの様々な人間模様や心の葛藤などが紹介された。

 また、記念講義として内田洋行の大久保昇社長の理科の授業が行われた。

 大久保社長は、時に白衣をまとい、電子黒板などのICT教材を駆使して地球にいるユニークな生物の生態を分かりやすく、また面白く紹介。

 さらに自社の社員で博士号を持ち、自席の上でミジンコを育てているという社員を登場させ、ミジンコの生態について詳しく紹介した。

 デジタル顕微鏡には、特殊な撥水加工のガラスにスポイトで水を垂らすことで、水滴が球体となり、ミジンコなどの微生物が動く様子を観察できる「水たまグラス」が設置されている。

 「水たまグラス」の上で泳ぐミジンコが、何千倍もに拡大されてリアルタイムにスクリーンに映し出され、その迫力に会場の聴衆からはどよめきが起こった。

 何十年も前に受けた小学校の理科の授業とは違う何かを感じたようだった。それは、授業のやり方次第で、子供たちに与える刺激が大きく異なり、いかに理科に興味を抱かせることができるかを暗示しているようでもあった。