物流現場の課題をIoTとデータで解決する

「労働人口の減少と物流量の拡大が相まって、物流の現場はさらなる改善策が求められている。個々の現場は優秀な現場の人々の努力により支えられてきたが、モノの流通量の爆発的な増加が影響しており、従来のやり方だけでは解決が難しい。

 そこで当社では主力商品であるフォークリフトのIoT化を進め、IoT化そのものによる付加価値の向上、それからIoTで取得したデータをベースに新しい付加価値を創出するべく、事業を進めている。

豊田自動織機の伊藤寿秀理事

 IoT化の恩恵が大きいソリューションサービスの1つが『フリートマネジメント』だ。フリートマネジメントとは、複数のフォークリフトを複数の拠点にわたって統合的に管理する手法、およびサービスメニューのことである。データを使ってフォークリフトの稼働時間、稼働率、作業やメンテナンスの状況などを分析し、フォークリフトで運んでいるモノの動きも加味しながら、全体最適になる台数や配置などをお客様にご提案する。作業効率の低いフォークリフトや作業状況に応じて共有化できるフォークリフトを特定し、場合によってはフォークリフトの台数削減もご提案することになる。

 だが、お客様が求めている本質はフォークリフトという機台ではなく、物流の最適化や高度化、そして物流コストの削減だ。ここを提案できるかどうかが、お客様から引き続き選ばれるかどうかの決め手となる。そこで当社としては、引き続きフォークリフトの単体販売を行うことに加えて、ソリューションサービスで対価を頂くビジネスモデルを拡大しようとしている。

 データの解析で、これまでにない新しいサービスの創出も期待できる。早期の実現を狙っているサービスの1つが、フォークリフトの予知保全だ。故障し稼働できなくなる前にその兆候をつかみ事前に対処できれば、ダウンタイムの発生を防ぎ、稼働率が上がる。

 データの活用に当たっては、データを読み解き有用な切り口を得る活動が重要になる。AI(人工知能)を使うなどいろいろなやり方が考えられるが、どれをどのように使うかは今後分析しながら検討を進めていく。当事業部の海外企業にはデータサイエンティストに当たる人材を置いており、その人材を中心にデータの分析方法やソリューションを検討中だ。

 ただし、IoTやデータだけでお客様にとって有効なソリューションが提供できるわけではない。当社ではよく『現地現物』と言うが、大事なのは現場である。現場に足を運び、そこからお客様に合った改善提案を考え、共に改善していくことが基本だと認識している」

(聞き手は筆者)