しかし、キム代表はさらなる成長のためには個人の経営能力では限界があることを思い知らされる。

 2014年から売上高と営業利益が横ばい状態なのだ。また、トレンドに敏感な製品を扱っているので、浮き沈みも大きい。今は調子の良い化粧品も外注のため、人気が出ればすぐに類似商品が出回りやすい。

 そこで、2016年からスタイルナンダの売却を検討し始めた。韓国の某デパートなどが買収に手を挙げたが、彼らが考える「スタイルナンダ」の企業価値とキム代表が考える企業価値に食い違いがあり成立しなかった。

韓国人女性の社会進出加速

 とりわけ中国事業で食い違いが大きかった。スタイルナンダの中国販売は、中国人の行商たちによって運ばれたものが多く、販売数量と売上高の整合性が一部取れないなど不透明な取引があり、“脱税”に見られかねない要素があった。

 こうしたことから、キム代表は経営の透明化を図らなければならないと考え、グローバルな投資銀行を通して事業売却を進めることにした。

 その結果として、ロレアルの買収話が持ち上がったものと考えられる。その投資銀行とはスイス系投資銀行UBSで、ロレアルグループを買収優先交渉権の対象者とした。

 現在、スタイルナンダの株式は、キム代表が100%保有しているが、このうち70%を売却する予定だという。金額は約4000億ウォン。キム代表は、売却後もブランドの企画や製品デザイン開発を手がける予定だ。

 スタイルナンダのサクセスストーリーは、学歴社会で男性優位社会である韓国社会において女性の希望にもつながっている。

 現在、スタイルナンダに続くネット通販会社がいくつも生まれており、これから第2、第3のサクセスストーリーが期待されている。