セルラーLPWAは、第4世代(4G)携帯電話網を利用するLTE版LPWA(LTE-M(eMTC)とNB-IoT)や、その次の第5世代(5G)を利用するLPWAの総称だ。セルラーLPWAは、交通監視・制御といったGPS(全地球測位システム)を駆使するサービスや、物流や配送の管理や各種追跡(トラッキング)などモビリティが不可欠なアプリケーションで利用が広がる公算が大きい。電力・ガスのスマートメータリングやインフラ監視のように広域のカバー領域が必要なアプリケーションのほか、無線ネットワークの通信の安定性/信頼性やセキュリティ、拡張性が求められる公共性が高いアプリケーションでも、セルラーLPWAの採用が進む可能性が高い。

 他方、低価格と低消費電力がより重視される個人の生活と密接なアプリケーションは、独自仕様LPWAのほうが適している。そのため高齢者や児童の見守り、家電の遠隔制御、シェアバイクなどにおいては、独自仕様LPWAの採用例が増えるとみられる。

 もちろん、このような線引きでLPWAのすみ分けが進むとは限らない。高齢者の見守りやシェアバイクなどに比べ、IoT関連サービスの中では圧倒的に大きな市場を形成すると思われるスマートメータリング、環境モニタリング、インフラ監視、防災監視の分野では、実用化が先行した規格とサービスが、最終的に国内で最も支持を得ることが十分に考えられる。これから数年の実用化の動向には目を凝らしておきたい。

解決すべき主な技術的課題

 2021年以降と思われる普及期に向けて、実証実験を通じて検証し解決すべき技術的な課題はまだいくつも残っている。例えば、LPWAで通信するセンサーの低価格化は避けて通れない課題のひとつ。ゼロエネルギーや環境発電などと称される「エネルギー・ハーベスティング」を駆使した低消費電力の無線センサーネットワークの実現も強く望まれる。さらに、複数の通信装置を連動させて広域のネットワークを構成するマルチホップ方式などで長距離通信を維持しながら、高速化あるいは高信頼・低遅延化を推進したり、センサーそのものの高知能化を図ったりすることが求められる。

 第5世代(5G)とそれ以降の携帯電話網を活用したLPWAに大きな期待が寄せられる高速化は、4K/8K/16Kなどの高品質な防犯カメラ(視覚センサー)で撮影した映像を解析するようなハイエンドのアプリケーションに欠かせない。消費電力が多少大きくなって通信距離が少し短くなったとしても、10Mbpsオーダーの高速通信がLPWAに求められるようになる。

 高信頼・低遅延化については、安全運転支援や自動運転の用途でLPWAを活用する際に必要になる。高知能化に関しては、センサーの限られたメモリー容量や処理能力の中で、ディープラーニング(深層学習)など人工知能(AI)技術を効果的に活用することが大切だ。センサーを高知能化すれば、エッジコンピューティングにより低遅延化が図れるだけでなく、センサーから集めた大量のデータを処理するクラウドの負荷を軽減する効果などが見込める。

 こうした課題の解決と歩調を合わせて、デジタルトランスフォーメーションの潮流は、今後ますます加速していくだろう。そしてLPWAは、IoT用途の無線センサーネットワークとして産業活動や人々の生活の隅々に行きわたり、スマートコミュニティ、スマートシティ、スマートソサエティを支えていく。