トランプ政権がアメリカ人のアメ車信仰を後押しするような動きをみせている。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のダッジの展示(ニューヨークオートショーにて筆者撮影、以下同)

 一体、何を信じればいいんだ!?

 これでアメリカでのEV普及は一気に減速してしまうのか?

 米連邦環境局(EPA)が4月2日に行った記者会見に出席して、筆者はそう感じた。

 EPAのスコット・プルーエット長官は、オバマ政権が2011年に定めた2022~2025年までの「CAFE」(Corporate Average Fuel Economy:企業平均燃費)を大幅に見直すと発表した。CAFEとは、米国で販売される車に適用される燃費規制である。会見の中でプルーエット長官は、「オバマ政権の(燃費に関する)決定は、Wrong (間違い)だ」という厳しい表現を使った。

 この発表に、日系自動車メーカー各社の幹部は驚きを隠せない。デトロイト3(ゼネラル・モーターズ、フォード、フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のロビー活動がこうした形で具体化するとは、まったく想定していなかったからだ。

 世界各地で各国の自動車メーカーの技術開発幹部と意見交換すると、将来の開発における最重要課題として「燃費規制をどうクリアするか?」を挙げる人がほとんどである。巷で騒がれている自動運転やコネクテッドカーの優先順位は、燃費規制より明らかに低いのが実情だ。