ZEV規制は、カリフォルニア州環境局の大気保全委員会(CARB)が1990年から施行している排気ガス規制だ。実質的に、この規制によって世界のEVの開発が進んできたと言っても過言ではない。アメリカは中国に抜かれるまで世界ナンバー1の自動車製造・販売国だった。そのアメリカで自動車販売台数が最も多いカリフォルニア州の規制が、世界自動車市場への強い影響力を維持してきた。

 このように、アメリカには連邦政府とカリフォルニア州政府という2つの行政府による自動車排気ガス規制が存在してきた。自動車メーカー各社は長年にわたり、このダブルスタンダードを「受け入れざるを得ない」という立場をとってきた。

 ところが、今回のEPAの会見で、プルーエット長官は「(連邦政府案で一本化するよう)カリフォルニア州との協議を進める」と強調した。つまり、連邦政府として将来的にZEV規制を消滅させたい、ということだ。

 トランプ政権はこれまでも、TPPの協議やパリ協定からの離脱など、オバマ政権が決定した様々な“約束”を破棄してきた。自動車の燃費規制についても同様だ。アメリカファースト、つまりデトロイト3の要望を最優先させるためにCAFEを大幅に見直すことにしたのだ。

 デトロイト3としては、アメリカ市場では、ピックアップトラックやSUVなど車体やエンジンが大きく、メーカーとディーラーにとって利幅の大きな商品を優先させたいところだ。実際、アメリカのディーラーの幹部たちに話を聞くと、「EVなどの次世代車は、現在のようにガソリン価格が安定している間は“売れ筋”にはならない。正直言って重荷になるだけだ」と否定的なコメントが返ってくる。

中国のNEV法もなくなってしまうのか?

「こんな調子だと、『NEV法』もどうなることやら?」 今回のEPA発表後、日系自動車メーカー関係者からそんな声が聞かれるようになった。