言語コミュニケーションの壁に挑む

 ユーザーと実店舗の間のコミュニケーションはスマホアプリ「FACY(フェイシー)」のメッセージ機能を使って行われる。そこに投稿されるのは基本的に短文で、しかも時として稚拙な文章である。そこからユーザーのニーズを的確に把握するのは容易ではない。

「メラービアンの法則」では、言語メッセージで伝わるのは7%で、音声の特徴が38%、表情55%とされる。実店舗での服選びでは、店員の“提案”に対して、客が「いいですね! これ好きかも!」と口で言っていても、その口調や表情などから「好きだし、買ってもいいんだけれど、他にもっといい服があるかも・・・」というユーザーの感情の揺れ、一瞬の躊躇を読み取って、店員がすかさず別の提案をするケースがよくある。

 ところが、ネット上のメッセージのやり取りでは、そこまで“察する”ことは難しいだろう。

 だが、ニーズを読み切れていない“提案”は、ユーザーに「ネットショッピングって、所詮こんなものだよね」という失望感を与えかねない。よって、コミュニケーションをいかに的確に行うかは、スタイラーにとって生命線と言っても過言ではない。「まさにその点が重要なのです。実店舗側からも、“ユーザー情報をもっとほしい”と要望されています」と小関氏も認める。

 それに対する小関氏の対応は明確だ。

「私たちは、ユーザーの閲覧履歴・購入履歴の蓄積を進めているほか、ユーザーの位置情報も把握しています。ですので、ユーザーが、たとえば都内の女子高校生であれば、都内のどういうエリアの高校に通い、放課後や休日はどこに行き、どんなファッションに興味をもっているかということを把握できるのです。そうした情報を通して、彼女のライフスタイルの概要を知ることができると考えています。情報の量が増えることで、“提案”の精度はどんどん高くなっています」

FACYの画面の例。女性ユーザーからの「年齢相応の大人の女性に見える春のジャケットかコートがほしい」という相談メッセージ(左)。それに対する神戸のショップからの提案アイテム(中)とコメント(右)
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