「タイ料理といえばパクチー」は日本人の幻想だった

体調でハーブを使い分けるタイの“香草大国”ぶり

2018.04.06(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

タイ人が好きな「東洋のバニラ」の香り

「タイでは、『バイトゥーイ』(パンダンリーフ)という葉の香りが好きな人が多いです」と外谷さんは言う。バイトゥーイは独特の甘い香りのする香草で「東洋のバニラ」と呼ばれているそうだ。

 たしかにこの香りは人気があるらしく、お店の中にこの香りが広がっていたり、お茶などの香りづけにも使われていたりする。コンビニエンスストアで購入したココナツウオーターにまでこの香りがしていたのにはびっくりした。搾り汁は鮮やかな緑色で、餅菓子やごはんの着色によく使われている。タイのお菓子があまりにも鮮やか緑色なので、着色料によるものかと思ったが、違っていた。

バイトゥーイを使った菓子パン。

 この甘い香りのする緑色のクリームを「サンカヤ」といい、ココナッツミルクや卵、砂糖などで作る。タイでカスタードクリームといえば「サンカヤ」を指す。街なかでも緑色のサンカヤをつかったお菓子を見かけたが、コンビニエンスストアでも、緑色のクリームを塗った食パンやクリームパンなどいろいろな種類のサンカヤスイーツが並んでいた。

体調により香草を使い分けて、暑さを乗り切る

 タイでは、どの料理もさまざまな種類の香草が使われ、クセのある複雑な風味を生み出していた。また、香草を生のままふんだんに使っていることが印象的だった。多くの種類の香草を組み合わせて食べるタイ人にとっては、たしかに日本人がパクチーだけを山盛りに食べるのは奇異に見えるだろうと思った。

「体を冷やす、温めるなど香草やスパイスにはそれぞれ効能があり、タイ人は体調などで使い分けている」とピンさんが教えてくれた。人気があり、よく使われるのがプリック(トウガラシ)だそうだ。

市場で売られるタイのトウガラシ。手書き文字では「プリックキーヌー スワン」と書かれている。小さい青トウガラシの名称。

 熱帯に属するタイでは、香草の香りで食欲を促し、また、香草の効能を利用して食中毒を予防したり、体調を整えたりしながら、暑さを乗り切ってきたのだろう。今年の日本の夏も暑そうだ。私たちの食生活にも香草をうまく採り入れてみたい。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。


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