(英エコノミスト誌 2018年3月31日号)

国民監視からテロまで、AIが悪用される近未来の脅威 専門家らが警鐘

ドイツ・ハノーバーで開催された情報通信技術見本市「セビット(CeBIT)」で、機器の操作を行う人工知能(AI)搭載の人型ロボットの腕(資料写真)。(c)AFP/CARSTEN KOALL〔AFPBB News

人工知能がハイテク産業以外の分野でも導入されるにつれ、職場はより公正になるかもしれないが、より重苦しくなる恐れもある。

 人工知能(AI)がビジネスの世界になだれ込んできている。本誌エコノミストが今週号の特別リポートで紹介しているように、あらゆるタイプの企業が需要の予測、従業員の採用、顧客対応などにAIを活用しつつある。

 2017年にはAIがらみのM&A(企業の合併・買収)に約220億ドルの資金が費やされた。2015年実績の約26倍に当たる金額だ。

 コンサルティング会社系シンクタンクのマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)の試算によれば、マーケティング、販売、サプライチェーンの3分野にAIを応用するだけでも、今後20年間で2兆7000億ドルの経済的価値(利益や効率の向上など)が創出される可能性があるという。

 グーグルの最高経営責任者(CEO)は、AIは火や電気を上回る貢献を人類にもたらすだろうとまで述べている。

 そのように大仰な予測がなされると、希望とともに心配も芽生えてくる。

 AIについては、雇用を創出するとしても、それを上回る速さで雇用を破壊するのではないかと懸念する向きが多い。

 また、データの所有と創出によって高い参入障壁が作り出され、どの産業においても一握りの巨大企業が市場を牛耳るようになってしまうかもしれない。