米国の外交政策に揺さぶられる原油市場

皇太子外遊中のサウジ、事態がますます深刻化

2018.03.30(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52697
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経済危機の中で訪米したムハンマド皇太子

 主要産油国と言えば、サウジアラビアのムハンマド皇太子が米国に到着した3月19日、在米サウジアラビア大使館は「皇太子の米国での滞在日程は大幅に延長される」と発表した。当初は22日までの滞在予定だったが、3月30日に西海岸に向かい(アップルやグーグル、アマゾンなどの最高幹部にサウジアラビアへの投資を要請する)、4月7日に帰国の途に就くという。3週間を超える長期にわたる米国滞在である。

 ムハンマド皇太子と会談したトランプ政権は、「サウジアラビアに6700基の対戦車ミサイルなど10億ドル分の武器を売却する」方針を明らかにした。ムハンマド皇太子はさらなる武器購入でトランプ大統領の歓心を得られたようだ。

 一方、ビジョン2030の主要な資金源となるサウジアラムコの株式公開(IPO)について米国の投資家の関心は低かったという(3月19日付OILPRICE)。サウジアラムコのIPOは当面国内の株式市場で実施されるようだが(3月21日付日本経済新聞)、サウジアラビアの証券取引所タダウルの取引時価総額は6000億ドルに満たないことから、政府が見込む調達額(1000億ドル)は大幅に縮小される。

 サウジアラビア経済へのカンフル剤注入の希望がしぼむ中で、3月16日、ドルペッグ制を採用するサウジアラビア政府は米FRBの利上げに先立ち、約10年ぶりに主要政策金利を引き上げた。資金流出阻止のための措置だが、これにより2017年11月以降の汚職騒動で冷え切ったサウジアラビア経済の不況はさらに深刻化するだろう。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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