米国の外交政策に揺さぶられる原油市場

皇太子外遊中のサウジ、事態がますます深刻化

2018.03.30(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52697
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 苦境に陥ったベネズエラの最大の支援国は中国だった。2007年以降の支援額は600億ドル以上に達したが、ベネズエラの現状が好転しない状況に「堪忍袋の緒」が切れかかっている。2017年11月、中国国有石油会社Sinopecは米国連邦地方裁判所にベネズエラ国営石油会社PDVSAを提訴した。PDVSAの子会社がSinopecから4万5000トンの鋼鉄を購入したものの1年以上経っても代金が未払いだからだ。このような状況に加え米国のベネズエラへの制裁が強まれば、米国との摩擦激化を恐れる中国がベネズエラへの支援を手控えるようになる可能性がある。

 現在、OPECには手詰まり感が出ている。シェールオイルの増産が、2017年1月から実施している協調減産(日量180万バレル)の規模を超えることが確実視されているからだ。そのため、OPECをはじめとする主要産油国は、協調減産の終了時期の先送りを画策している(3月13日付ロイター)。そうした状況の中での米国の強硬な外交政策は、主要産油国にとって「思いがけない贈り物」であることは間違いない。

中国との対決に舵を切ったトランプ政権

 しかし米国の外交政策は主要産油国にとってプラスの効果ばかりではない。

 トランプ大統領は3月22日、「中国が米国の知的財産権を侵害している」として600億ドル相当の中国製品に対する追加の関税賦課を決定した。トランプ大統領はその理由として「中国側の不公平な貿易慣行が原因で米国内で6万の工場が閉鎖に追い込まれ、600万人の雇用が失われた」と述べた。「中国を市場志向型の主要経済国に仲間入りさせよう」という半世紀近くに及ぶ試み(積極的関与)が失敗したと判断したトランプ大統領が「アメ」ではなく「ムチ」を選んだ(3月24日付ブルームバーグ)ということだろう。

 これに対し中国商務部は3月23日、米国からの果物や豚肉、鋼管などの輸入製品に対して30億ドル規模の追加関税を課すことを発表した。ただし、中国政府の「貿易戦争も辞さす」とする居丈高な口調とは異なり、追加関税の規模は米国の5%に過ぎない。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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