姿はさまざまでも定番の卵焼き、失敗しないコツは?

「栄養と料理カード」でたどる昭和レシピ(5)卵焼き

2018.03.30(Fri) 三保谷 智子
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 調味は、卵1個(50g)にだし大匙1(15g)、しょうゆ小匙1/2(3g)。これはこの後にも紹介する厚焼き卵の基本割合。だしは卵の30%、しょうゆは塩分で卵の1%見当。

 注意書きに卵焼き器の“油ならし”は「卵焼き器を火にかけ、たっぷりの油を入れて充分に熱し、油をもとに戻し、余分の油をふきとって熱し」とある。この“油ならし”は、銅製や鉄製の卵焼き器やフライパンを使うときのポイントになる。油のふき取りには古布を用意しておく。たっぷりの油を入れて熱し、それを空けて余分の油は古布で拭き取り卵液を流す。次の卵液を流すときも、油布で拭いてから流して焼き上げる。

 現在は、フッ素樹脂加工などで表面をコーティングした卵焼き器やフライパンが広く普及し、“油ならし”の調理工程も必要がなくなった。耳慣れない言葉になった。

厚焼き卵と具入りのふくさ卵――昭和45年

1970(昭和45)年12月号。卵は流動性があり、加える材料によって形を変えることができる。
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 切り分けて断面を上にした厚焼き卵と、せん切りにして味つけした野菜や肉を加えて四角く焼いて切り分けた「ふくさ卵」を紹介している。

 厚焼き卵の味つけはしょうゆと塩の2種を使い、合わせて卵の1%にあたる塩分で仕上げている。ふくさ卵は野菜や豚肉をせん切りにして炒めて味つけし、卵液に加えて卵焼き器に流し、ふたを使って上下を返して焼いたもの。ほかに鶏ひき肉や豆腐、にんじん、干ししいたけ、さやえんどうなどで作る「千草焼き」、ウナギのかば焼きを芯にして巻いた「う巻き卵」などもある。

 具の入った卵焼きはボリュームもあり主菜にもなるので、経済料理ともいえる。

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三保谷智子(みほやともこ)

栄養と料理』元編集長。2011年4月から香川昇三・綾記念展示室勤務。学芸員。

東京都出身。1977年立教大学文学部史学科卒業後、香川栄養専門学校栄養士科(現 香川調理製菓専門学校)へ進学、「栄養士」の資格を取得。その後、1979年女子栄養大学出版部雑誌編集課に入職、約30年『栄養と料理』の編集に携わる。1988年より2011年まで、10年間編集長を務める。途中、同部マーケティング課、書籍編集課に在席。

独立行政法人国立健康・栄養研究所外部評価委員。「食生活ジャーナリストの会」会員、NPO法人「野菜と文化のフォーラム」会員、NPO法人「くらしとバイオプラザ21」理事。現在、『栄養と料理』で連載「レシピの変遷シリーズ」を執筆中。


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