そんなことにならないよう、夫婦であらかじめ出産前から相談しておいてください。「出産後の女性は極度の睡眠不足になることが非常に多く、家事の遂行はそもそも困難。家事を女性が全部こなそうという発想そのものに無理がある」ということがあらかじめ二人で合意できていれば、男性が家事をしてもお母さんは自分を責めずにすむでしょう。

 また女性は、男性が家事をする場合、自分のやり方通りに守らせるのを諦めてください。上司が部下に仕事を任せたら、なるべく口を出さないようにした方が働きやすいのと同じ。男性のやり方はヘタクソに見えるかもしれませんが、仕方がない、育つまで待つしかないと、長い目で見る余裕をお持ちください。

 不眠を軽減する一助として、ミルク併用を検討するのも手です。子どもにもよりますし、母乳の方が楽(乳腺がつまりやすい方など)だという女性もいるので一概に言えませんが、母乳だけになると、ミルクを受けつけなくなる子も多く、そうなると、栄養と水分補給は母乳のみに頼る形となり、お母さんは育児から解放される時間を確保することが難しくなります。これはキツい。

 ミルク併用にすれば、男性に授乳する作業を任せることができます。親類、あるいは友人に世話をお願いすることも可能になります。そうすることで、お母さんはひとときの安らぎを確保することが可能になります。

 初めての出産で驚くのは、「24時間ひとときも気を抜けない」という生活が結構な長期間、続くという現実。話に聞くのと実体験するのとでは大違い。仕事していたときの方がずっと楽だったと思い知るでしょう。仕事は自分のペースでできますが、育児は子どものペース。これがシャレになりません。

 泣いている時は「眠ってよ」と疲労困憊、静かに眠っているときは「息してる?」と不安になり、寝息を確認せずにいられません。ミルクをあげてもなかなかゲップをしてくれず(ゲップせずに寝かせると逆流し、窒息する恐れがある)、寝かそうとしてもいわゆる「背中スイッチ」が起動して、寝ていたはずの赤ちゃんが泣きわめいて、再度ダッコしてあやさねばならなくなったり(しかも「座ってる」センサーがあるのか、立ってダッコしないと泣き止まなかったり)。まともな睡眠をとれない中で、か弱き生命をつながなければという緊張感が24時間、毎日続くので、女性は心身ともに疲労困憊します。

 男性は、女性がそうした状況に置かれることを予見し、理解しておいてください。そして夫婦で、その状況をどのように乗りきるかをあらかじめ相談しておいてください。そうすれば、「これがウワサのヤツか」と、夫婦で落ち着いて乗りきれるでしょう。

 西原理恵子さんの次の文章、夫婦で読まれることを強くお勧めします。

(参考)「卒母・西原理恵子の子育ての結論『母乳、食育は放棄。子どものためという呪縛から逃れて』」(AERA dot.)

 お母さんが、そしてお父さんが笑顔で育児を楽しめるようにすることに優るものはありません。笑顔を確保するためなら、家事でもなんでも手を抜くことをあらかじめ相談しておいてください。