(英エコノミスト誌 2018年3月10日号)

寒さから脱出、冬の暖か旅行先

モルディブの青い海。(c)Relaxnews/Istock.com/mvaligursky〔AFPBB News

中国による貸し付けは戦略的資産の支配権を勝ち取るための策略だ、とインドのタカ派は見ている。

 モルディブのラーム環礁の南端では、ヤシの木に覆われたガードゥー島が、アフリカからアジアに向かう船が数多く通る「北緯1.5度海峡」を見守っている。

 アブドラ・ヤミーン大統領は2015年、この島に住む数百人の村民に、環礁の中心に当たるフォナドゥー島への移住を命じた。

 今日では、ガードゥー島の防波堤は崩れ落ち、瓦礫が波間に沈んでいる。うち捨てられたモスクの床には、イマーム(礼拝の指導者)による最後の説教の原稿が、風を受けて散乱している。

 この島は、世界的な出来事の要になるような場所には見えない。しかしモルディブの政治家や外交官たちは、インド洋における覇権争いが次の段階に入れば、このガードゥー島がその舞台になると語っている。

 ヤミーン氏はこの島を差し出すという秘密の約束を中国と交わした、将来的にここは中国海軍の基地として使われる、というのだ。

 敏感な観測筋は、インドと米国の双方がこの島に目をつけている模様だと指摘している。

 そうでなければ、モルディブに代わってインド空軍のパイロットが環礁の小さな空港からヘリコプターを飛ばしていることや、その近くにある、中国市場にナマコを出荷している米国人所有の養殖場が間違いなく米中央情報局(CIA)の出先機関であることの説明がつかないという。

 中国はインド洋への関心を隠していない。この海には極めて重要なシーレーンがいくつかあり、中国の輸出入品の多くがそこを通る。