シェールガス開発を余儀なくされるサウジアラビア

財政状況の悪化で原油輸出の拡大が急務に

2018.03.16(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52581
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 原油生産量を伸ばせない制約下で財政収入を最大化するためには、国内での原油消費量を減らし、できるだけ多くの原油を輸出するしかない。このような観点からサウジアラビア政府は再生可能エネルギー投資を進めている(2月27日付日本経済新聞)。切り札は原子力発電である。前回のコラム(「原油価格70ドルが生命線、苦境のサウジの秘策とは」)で、トランプ政権が核拡散防止の規制を緩めてでも米国産の原子力発電機器をサウジアラビアへ輸出しようとしている動きを紹介した。だが、これに対してはトランプ政権と蜜月関係にあるイスラエルのネタニエフ首相が猛反発している(3月8日付ブルームバーグ)。

 財政収入の最大化が至上命題であるサウジアラビア政府は、あらゆる可能性を追求しようとしている。その1つがシェールガス開発である。

 サウジアラムコはこれまでシェールガスを投資対象にしてこなかったが、ナセルCEOは3月6日、「米国の最大規模のシェールガス田(テキサス州のイーグル・フォード鉱区)に匹敵するサウジアラビア国内のジャフラー鉱区の開発に着手する」と発言した。サウジアラムコの天然ガス開発の経験は皆無に近いが、国内の原油消費を減らすために2016年3月に発見したシェールガス田の開発を行うという苦渋の決断をしたのだろう。

 だが、「ジャフラー鉱区のシェールガスの埋蔵量は膨大だが、地質構造等が複雑で採算べースにのらない」とする海外の専門家は多い。

 サルマンームハンマド親子の傍若無人ぶりが「油上の楼閣」を揺るがす日が近いと言えよう。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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