シェールガス開発を余儀なくされるサウジアラビア

財政状況の悪化で原油輸出の拡大が急務に

2018.03.16(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52581
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 OPECのバーキンド事務局長は3月5日、米国ヒューストンでヘッジファンド幹部と会合した(3月7日付フィナンシャルタイムズ)。OPEC幹部が「石油市場の事情に精通していない」ヘッジファンドと会合を持つようになったのは昨年(2017年)3月からである。ヘッジファンドは昨年後半から「原油価格が上昇する」として市場の先高観をあおり、このところ「売りポジション」を再び増加し始めている。だが、OPEC幹部が彼らに対し「原油価格が引き続き堅調に推移する」材料を提供できたとは思えない。

 窮地に追い込まれたOPECの頼みの綱は、皮肉なことに米国である。米国が5月に核合意を破棄すればイランの生産量が日量50万バレル減少し、追加制裁の実施によりベネズエラの生産量が20万バレル以上減少する(3月1日付OILPRICE)からである。

下振れしそうな世界の原油需要

 需要サイドに目を転じると、世界の株式市場が落ち着きを取り戻したことで世界の原油需要は引き続き堅調であるとの見方が一般的だ。しかし、はたしてそうだろうか。

 まず米国だが、昨年のガソリン消費量は日量932万バレルだった。2012年以来の前年比マイナスとなり、今年のガソリン消費量もほぼ横ばいである。また、欧州の指標原油(北海ブレント原油先物価格)との価格差が縮小し割安感が薄れた米国産原油の輸出量が足元で大幅な減少となっていることから、今後、米国内の原油在庫の増加に拍車がかかる情勢となっている。

 昨年世界最大の原油輸入国となった中国では、輸入増を牽引してきた民間製油所(茶壺)に対する脱税取り締まりを当局が強化し始めており(3月1日付OILPRICE)、輸入増に歯止めがかかる可能性が高い。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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