(英エコノミスト誌 2018年3月10日号)

米関税は「同盟国への侮辱」 各国が一斉反発

ロシア・ニジニーノブゴロドの製鋼施設で作業に当たる従業員(2018年3月2日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / Vasily MAXIMOV〔AFPBB News

ドナルド・トランプ大統領による鉄鋼とアルミニウムへの関税適用は始まりにすぎない。

 輸入品に一方的に関税を課す米国大統領は、ドナルド・トランプ氏が初めてではない。

 ジミー・カーター氏以降のオーバル・オフィス(米大統領執務室)の主は例外なく、何らかの保護主義的な貿易抑制策を採用しており、その対象は鉄鋼であることが多かった。

 また鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税をかけるとトランプ氏が明言したとはいえ、それによって経済が破壊されることはないだろう。

 米国は昨年2兆4000億ドルの物品を輸入したが、鉄鋼とアルミニウムの輸入額はその2%を占めるだけで、国内総生産(GDP)との比率で言えば0.2%にすぎない。

 トランプ氏の保護主義がこの程度のものだったら、無分別な自傷行為というだけの話で済むだろう。だが実際のところ、今回の行動は、米国と世界経済全体の両方にとって災難になる恐れをはらんでいる。

 今のところ、トランプ氏が何をするつもりなのかは正確には分からない。だが、不吉な予兆はある。

 まず、歴代の大統領とは異なり、トランプ氏は自由貿易に対してかなり前から懐疑的な態度を取っている。多国間の通商システムを米国にとって悪い取引だと見なし、嘲笑したこともある。

 おまけに政権は混乱しており、3月6日にはゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長の辞任表明という凶兆もあった。