その一方で、独自仕様LPWAのSigfoxやLoRaのサービスが2012年に始まり、2015年にはヨーロッパを中心に携帯電話網のデータ通信市場を奪い始めた。この状況に対抗するため3GPPは2015年末、4Gに関する標準化の議論を急きょ再開。スウェーデンのエリクソンとフィンランドのノキアが中心となり、4Gを用いたLPWAの検討に乗り出した。そして2016年3月、わずか数カ月という短期間でLTE版LPWAを規格化した。

適用分野が異なる2つの仕様、LTE-M(eMTC)とNB-IoT

 3GPPがLTE版LPWAとして規格化した仕様は2種類ある。一つは、高速高機能版の「LTE-M(eMTC)」だ。LTE-Mの「M」はMachineの略、eMTCは3GPPにおける呼称で「enhanced Machine Type Communications」の略である。もう一つは、低速低機能版の「NB-IoT」で、NBはNarrow Bandの頭文字をとった。

表1 LTE版LPWAの仕様概要

 LTE-M(eMTC)は既存の基地局でIoT向けの低速通信サービスと4Gの高速通信サービス(MBB)を同時に提供するのに対し、NB-IoTはLPWA用に別のチャネルを設定するといった技術面の違いのほかに、2つの仕様の間には適用分野を見定めるうえで見逃せない機能面の大きな違いが1点ある。広いエリア内でLTE版LPWA対応のセンサー(端末)を移動させる際、ある基地局から、より電波を受信しやすい基地局に切り替えて通信を続けるハンドオーバー(端末のモビリティ)の可否である。LTE-M(eMTC)はハンドオーバーが可能だが、NB-IoTは利用できない。