――ありのままの女性の姿というところでしょうか。

川上 一言に主婦といっても、考え方や置かれている環境は十人十色。象徴的な例を挙げると、2016年に「保育園落ちた日本死ね」というブログが話題になりました。この頃、これはきっと働く女性の多くが共感しているだろうと思ったのですが、実際どれくらいなのだろうと思い、調査してみたのです。

 その結果、共感している方も多かったのですが、一方でフリーコメントには批判の声もかなり寄せられました。その批判もいろいろな種類の批判があって、言葉遣いとしておかしいという批判もあれば、そもそも子どもを保育園に預けるべきではないというのもありました。それが正しいとか間違っているとかいうことではなく、「女性だからみんな同じ考えだ」と見てしまうとしたら間違いだと改めて気づかされました。

 これは「アンコンシャス・バイアス(Unconscious Bias)」と呼ばれるものの1つです。十把一絡げに見てしまうスタンスは、認識されていない少数の人に対する「無意識の偏見」につながってしまうかもしれません。女性はみんな保育園に預けたいんでしょと、保育園に預けられないからみんな怒っているんでしょと言われると、いや私はそんな考えじゃないよという人も中にはいるわけです。

働きやすくなった実感は?

――2017年12月に発表された「働く主婦が振り返る2017」という調査では、「自由にキャリアを選べるようになった」「女性が働くことの価値をより認めるようになった」との回答が、前年と比べて増加しました。その理由はどう考えられるでしょうか。

しゅふJOB総研「働く主婦が振り返る2017」より。
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川上 いくつか要因はあると思いますが、女性や主婦層が戦力として優秀な人材なのだ、という事実に気づき出したということもあるように思います。それは主婦自身も自分たちに対して気づき出しているし、企業側もそこに気づき出しています。

 例として、我々が取り組んできた事業を挙げると、「スマートキャリア」というサービスがあります。こちらは主婦層を主な対象に、補佐的な業務ではなくて、どちらかというとコンサルティングに近いような専門性の高いポジションを、時短勤務でお願いするというものです。職種は、広報、法務、総務、人事などいろいろあります。

 人事を例として挙げると、一般的に派遣やパートで働くという場合は、人事の経験者であってもサポート的な業務が多いのです。それに対してスマートキャリアは、人事の経験者に対して「就業規則を新しくしたいので改訂をお願いしたい」というように、専門的な知識や経験がないとできないレベルの仕事を任せていきます。すなわち、ハイキャリア層向けの時短の人材サービスでして、これが実際に我々のサービスの中で一番伸びています。

 いま、社会では採用難が叫ばれていますが、「正社員でフルタイムで年収1000万のスペシャリスト」を雇おうとすると、なかなか人員の確保は難しい状況です。そういうときに、主婦層で優秀な方に、拘束時間でなくて成果を明確にして依頼すれば、時短勤務でも十分な成果を返してくれる人たちが実際にいるのです。